さあ、脳を磨こう!


『科学的に幸せになれる脳磨き』岩崎一郎(サンマーク出版

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人類のテーマ「幸福」

本書は、「幸福について」を題材にした本です。

人はだれしも幸せになりたいと思うものではないでしょうか。

では、どうしたら幸せになれるのか?お金があれば、仕事で成功すれば、健康であれば…

それが、幸せなのでしょうか。

そんな疑問に医師である著者が、徹底的に科学的根拠に基づいた幸福になる方法を書き記しています。

 

どうしたら、幸福になれるのか。

その結論は、脳を磨くことです。

略して、脳磨き。皆さん脳磨きをしましょう!

といっても、なんじゃそりゃ?あやしい!といった感想をお持ちですよね(笑)

そのような心境はわかりますが、だまされたと思って以下に目を通してみてください。

 

脳磨きとは?

それは、「島皮質」を鍛えることです。

島皮質?

ここでまた疑問が生まれましたね。

本書では島皮質とは、

この島皮質を鍛えると、島皮質の厚みが増す。

島皮質の厚みが増すと、脳全体をバランスよく使える。

脳全体をバランスよく使えると、脳のアクセルが高まる。

脳のアクセルとは、意志力、自尊心、社交性、自制心、協調性が高まる状態で、

これを非認知能力と呼んでいます。

よって、人は脳磨きをすると、非認知能力が高まり、前向きになる。

ということが科学で明らかになったそうです。

 

脳磨きのメカニズム

さあ、気になりはじめたところと思いますが、いったいどうすれば脳が磨かれるのか、すなわちなにをすれば島皮質の厚みが増すのかという点ですよね。

 

エゴを排除することが重要とのことです。

エゴとは、ご存じの通り自己中心的なということです。

自己中心的な考え方・行動を徹底的に排除することが脳磨きにつながるのです。

つまり、自己中心的でない行動をしていけば、どんどん脳が磨かれ結果的に幸福が増します。

これが本書の核心部分です。

 

幸せになる6つの方法

では、具体的にどのような行動をすればよいのか

「幸せになる6つの方法」が紹介されています。

①感謝すること

②前向きになること

③気の合う仲間や家族と過ごすこと

④利他の心をもつこと

⑤マインドフルネスを行うこと

⑥AWE体験をすること

 

ぱっとみただけでは、実践が難しいものもあるかとおもいますので、

それぞれの効果とやり方のコツを見ていきましょう。

①感謝すること

まずは、感謝することの定義から確認します。感謝することとは、感謝の気持ちをいつも感じている心の在り方のことを指します。感謝する=doingではなく、感謝している状態=Beingです。このことを本書では「普遍的感謝」としています。

 普遍的感謝により、脳機能を高め、脳全体を働かせることに役立ち、心と体にさまざまなメリットをもたらします。これから紹介する6つのメリットは、すべて研究結果に基づいています。

メリット1

体が炎症しているときにたくさん出るたんぱく質「インターロイキン6」が低く抑えられる。

メリット2

高い免疫機能を獲得できる。

メリット3

大変な状況にも順応しやすく、うつになりにくい。

メリット4

成長志向になり、自制心が増す。

メリット5

物事のプラスの面を見つけやすくなる。

メリット6

意欲がわく。なにか人のためになりたい、もっとなにかやりたい、新しいことにチャレンジしたと思うようになる。

 

心身ともに健康になり、活力をもって毎日を送れるようになるという変化をもたらしてくれそうです。

②前向きになること

気持ちが前向きだと、脳は活性化され、脳全体が働くようになります。

脳全体が働くと、視野が広がり気づきが高まります。

この結果、身の回りによいことが起こるようになってきます。

ただし、脳には物事を悪くとらえようとする「ネガティブバイアス」が備わっています。脳は前向きになることが苦手なのです。これは、人類が過酷な環境を生き抜くために備わった機能なのです。危険を察知したときに、戦うか逃げるしか脳は働かなくなるのです。しかし、この機能は現代まで人類が生き延びてこられたことに一躍買っていることも確かです。

 だからといって、ネガティブな感情をむりやりポジティブにもっていっても逆効果です。本書によると、これはよりネガティブを促進するため、脳には最もよくなくとのことです。つまり、自然にポジティブでいることが重要なのです。

 では、その自然にポジティブでいるための秘訣を9つ紹介します。

秘訣その1「過去の経験で気持ちが前向きになった時のことを思い出す」

秘訣その2「喜び・希望・誇りなどを感じてみる」

秘訣その3「自然と前向きになるポジティブな声掛けをする」

秘訣その4「とにかく楽しむ!」

秘訣その5「笑顔になる」

秘訣その6「自分から元気にあいさつし、ひとこと会話をする」

秘訣その7「小さくても、できたことに目を向ける」

秘訣その8「小さな成功体験をたくさん積む」

秘訣その9「ネガティブにも意味があると受け入れる。そして感情は自分で選べることを自覚する」

 

以上に9つ前向きになる秘訣を紹介しました。

ここにあげた秘訣を意識して過ごしていたら、毎日生きるのが楽しくなること間違いなしですね!笑

脳も良く働き、身の回りににいい変化が起きてくれそうですね!

③気の合う仲間や家族と過ごすこと

人が幸せに豊かに生きていくためには、あたたかい人間関係が大事なのだ、とのことです。

決して、「お金持ちになること」、「有名になること」ではないのです。そのようなことが、多くの人の思い描く、幸せの条件であることも事実としてあるようです。しかしながら、実際は人の幸せを決めるのは、「温かみのある人間関係」であることが研究結果から言えるのです。

ここで孤独と脳の研究結果を2つ紹介します。

まずは、孤独は人の脳に「毒」になるということです。孤独とは、単に一人でいる「Alone」ではなく、さみしさを感じる「lonely」の状態のことです。大勢でいても「lonely」なこともありますし、一人でいてもつながりの強いたったひとりの人の存在があれば充実感が感じられます。人の脳は「lonely」の状態でいると、機能が低下し、それだけでなく寿命が短くなるなどのよくない結果をもたらします。

また、もう一つの研究によると孤独でいると、新しく脳細胞を生み出す脳内ホルモン「BDNF(脳由来神経栄養因子)」の生産性が減り、また、ほかの脳内ホルモンや神経伝達物質も減少することがわかりました。

逆に、人とのつながりがもたらすメリットは数えきれないほどあります。

ひとことでいえば、幸せな状態でいられるということです。

心をひとつにできるような人がそばにいると、脳はストレスを感じにくいとこがわかっています。また、人とのつながりにより、愛情ホルモン、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンがたくさん出ることもわかっています。オキシトシンがたくさん出ると、他者が困っていれば助けようという気持ちが強くなります。そうすると、助けてもらえた人から信頼されるなど、他者との関係が気づきやすくなり、良き人間関係につながります。その結果、オキシトシンが出ますので、心をひとつにできるような人の存在は幸せな状態でいるための好循環につながります。

ある研究結果では、飛びぬけた成果を出したチームは、メンバーがお互いに相手を理解する能力が高かったことがわかっています。これは、集合知性」による効果だと言われています。集合知性」とは、チームでいることによって、個々の持ちうる力の何倍もの力を発揮されることを意味します。この集合知性」を発揮するためには、3つの要素が欠かせません。

①お互いの気持ちや視点を受け入れて、お互いの立場に立てること

②対等に発言できる、あるいは本音でぶつかれること

③メンバーが共感できる共通の目的に向かって心をひとつにできること

この3つが満たされている関係こそが「心が一つとなる関係」と言えるのです。

 

ここで重要なことは、たとえあなたがどのようなコミュニティに属していようとも、自らが働きかけて集合知性」を発揮できる環境を作り出せるということです。あなたの姿勢が相手にも伝わり、そのような姿勢が徐々に組織に広まっていくことで、3つの要素が満たされる環境に近づいていくのです。

 

この結果として、自分も周りも自分らしく生きがいを感じながら、かつ皆で困難を克服しながら、夢を実現することにつながります。それが幸せで豊かな人生として現れてくるのです。

 

そこで覚えておきたいことは、人は存在するだけで誰かの力になるということです。仲間がいるだけで、力になるということが研究からわかっています。一人で走った時よりも、2人で走ったときのほうが、100M走のタイムが速くなったとか。

仲間の存在って偉大ですね。この章を読んだことで周りの人への感謝が一層強まりました。

 

また、たとえば仲間が失敗したときなどは、成長に目を向け励ましの言葉をかけるとよりよい関係につながるそうです。組織で働く人にとっては、より実践的な内容ですね。家庭でも同じですね。

 

一生付き合っていきたいと思える人をもち、このような関係を気づくことが死に際に生きててよかったと思えるかどうかをわけるのだと感じます。

④利他の心をもつこと

利他の心をもつことは、最も脳の機能を高めます。

「利他」とは、自分ではなく人のためを思った行動です。そこで重要なのは、セルフレスであるかどうかです。すなわち、利他的な行動に私心がないことです。その点を心得ないと、「おせっかい」になってしまいます。なにかのお礼や見返りを求めてするような私心を含んでいては脳によい影響は与えられません。

幸せに生きることにつながるのは、共感にもとづいた利他の行動です。共感とは、相手と同じ感情を感じ寄り添うことです。多くのメリットをもたらす利他的な行動は、この点を意識することではじめて、もたらされます。

 

ここからは、利他がもたらすメリットを紹介します。

研究によると、以下のことがわかっています。

メリット1

利己的な人より利他的な人のほうが年収の増加率が高くなっている。増加率の差は1.5倍にも上る。利他的な人は周囲から信頼されるようになり、その結果が年収に差をもたらす。

メリット2

利他的な行動をする人が組織にひとりでもいると、その組織の生産性が2倍近く高まる。

メリット3

利他の心には、前向きさをキープする力がある。しかも、視野が広がる。

メリット4

利他的に行動すると快感をもたらすドーパミンの分泌を増やす。

 

以上をみると、人に何かしてあげること、人の幸せを思いやることが、結果自分の幸せを長続きさせるといえると思います。

したがって、自分自身が大変な時こそ、感謝や利他の実践が有効なのです。利他によって、脳機能も高まり、視野が広がって創造的な解決法などが思いつきやすくなります。

しかも、日ごろ利他的な行動をしていることで、人の協力も得られますし、困難を乗り越えやすくなるのです。

 

利他がもたらす産物をご理解頂けたなら、利他的な行動をまず始めてみましょう。最初は、なかなかうまく立ち回れないかもしれません。しかし、一日一善を心がけ、利他の脳回路を鍛えるので。そうすることで、意識せずとも利他的な行動ができるようになります。コツは、まず感謝の気持ちをもつことです。そうすれば、なにかしてあげたいことが見つかるはずです。

⑤マインドフルネスを行うこと

「いま、ここ」に意識を集中させよう!というのが、マインドフルネス。

マインドフルネスによってもたらされる多くの効果が科学的に明らかになっています。

その1

脳の老化の防止につながる。

マインドフルネスを実践している人たちはしていない人たちに比べると、「前頭前野」「海馬」そして「島皮質」などの厚みが増していることがわかっている。

その2

マインドフルネスを習慣化した人の睡眠の質が高まった。

その3

マインドフルネスの講座を受講したグループの読解力のテストの点数が大幅に跳ね上がった。マインドフルネスは学業成績のアップにも役立つ。

その4

マインドフルネスにより、免疫力も30%アップする。

メリット5

ストレスホルモンが減り、食べすぎが減った。

メリット6

腰痛や頭痛などの痛みも和らげた。

メリット7

頭皮室が活性化し、注意力が散漫しにくくなる。フロー状態になれ、仕事が捗る。

メリット8

精神が安定する。不安が和らぎ、イライラもなくなる。

 

マインドフルネスの行い方は、多くの書籍やYou Tube動画などで紹介されているので、自分にあったやり方を見つけてみてください。

その際、大切なのは短い時間でもいいので毎日続けることと本書には、書かれています。1日3~5分程度でもいいそうです。

私個人としては、サウナにいってサウナ室で目を瞑ることが自分にあった方法かなと感じ始めています。疲労回復・美肌効果などサウナ本来の効果も得られるので一石二鳥です。

⑥AWE体験をすること

AWE体験とは、大自然や宇宙に接して「自分はなんてちっぽけな存在なのだろう」と感じるような経験のことです。

実はこのような経験が、脳にとって大きなプラスになる場合が多いことがわかってきています。このAWE体験をしている人は、脳が活性化し、世の中のため、他者のためになることをしようという志が生まれやすくなります。

AWE体験を多くした人の特徴が研究からわかっています。

特徴①:謙虚になれる。

特徴②:自分の人生の目的・志が明確になる。

特徴③:未来の社会に役立つことをしようとする。

特徴④:インターロイキン6の濃度が低く抑えられる。

特徴⑤:見破る力、騙されない思考力を持つようになる。

 

本著に挙げられた5つの特徴に共通しているのは、大自然を前にすると、日常にあるすべてのことが些細なことに感じられることに起因していることだと思います。

自分はすごいとか、あの人はすごいとか、この会社がすごいとか、あの技術はすごいとか思わなくなりますから(笑)。

そのため変な欲にとらわれづらくなり、ものごとの本質に気づきやすくなるのではないかと思います。

ぜひ、みなさんも登山やキャンプ、マリンアクティビティに出かけてみてください。単純に、楽しいですから。

おわりに

私自身、知らぬ間に脳磨きをしていたんだなと思うものがありました。

感謝することについては、月に1回神社への参拝をしています。別の本で読み、近所の神社へいって、住まわせてもらうことへの感謝をするというものです。

利他の心をもつについては、小さなごみ拾いです。毎朝、散歩をするのですが、その時目についた小さなごみは拾って家のごみ箱に捨てるようにしています。

AWE体験については、月3回は行く大好きな登山で自然の雄大さを体感しています!

 

こういった小さな行動・できそうな行動から始め、継続していくことで幸福を感じ、笑顔でいられる毎日が送れる。このことを学ぶことができました。

 

この本に、出合えたことに感謝です!(いま、脳が磨かれました)

 

著者

京都大学卒。京都大学大学院修士課程修了後、米国・ウィスコンシン大学大学院で医学博士号(Ph.D.)取得。旧通産省の主任研究官、米国・ノースウェスタン大学医学部脳神経科学研究所の准教授を歴任。

直接的に、世のなかのため、人のためになるような研究・活動をしたいと志すようになり・・・

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